皆様、いかがお過ごしでしょうか? 在バルバドス日本大使の品田光彦(しなだてるひこ)です。
本 2019年は、ここバルバドスに日本大使館が開設されて早4年目になります。しかし日本の多くの方は“バルバドス”という国名を聞いてもなかなか具体的なイメージが湧かないのではないでしょうか? 日本の種子島ほどの面積に、人口は約29万人。公用語は英語です。国民の9割はアフリカ系の人々で、その多くはかつて英国の植民地だった時代にサトウキビ農場の労働力としてアフリカから連れて来られた人達の子孫です。その他1割を英国系をはじめとする欧州系や少数のインド系などが占めています。現在では二大政党制とメディアの自由が確立した民主主義国家となっていて、アフリカ系が中心となり国政を運営しています。政情、治安はおおむね安定している一方で、近年は財政赤字、公的債務増大、外貨準備高不足といった経済面での課題を抱えており、これに対する政府の今後の舵取りが注目されるところです。
西はカリブ海、東は大西洋に面し、気候温暖なこの島国の暮らしは主に観光で支えられています。日本からの観光客は年間数百人ほどですが、欧米諸国からは美しい海と自然を求めて毎年60万人以上が訪れます。首都ブリッジタウンの港には、夏のハリケーンシーズンを除けば年間を通じて巨大なクルーズ船が何隻も停泊しているのを見ることができます。
バルバドス国民の対日感情はきわめて良好です。町を走る自動車の約8割は日本車で、“日本”と聞くとバルバドス人はまず自動車を思い浮かべるようです。また、柔道、空手などの武道や、漫画やアニメといった日本の現代文化に対する国民の関心もかなり高いものがあります。日本大使館としては、このような日本への関心を素地として、バルバドス国民に日本への理解を一層深めてもらうために広報・文化・スポーツ交流活動に力を入れています。さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、バルバドス・オリンピックチームのホストタウンとなっている山形県南陽市とバルバドスの間の相互交流が深まっているのも嬉しいニュースです。
日本ではまだあまり知られていないバルバドスですが、カリブ海東端に浮かぶこの小さな真珠のような美しい国に、より多くの日本人が訪れ、両国間の関係が一層進展していくことを願っています。
2019年3月
駐バルバドス特命全権大使 品田光彦
品田光彦(しなだてるひこ)略歴
1957年生まれ。都立戸山高校、慶應義塾大学経済学部を経て1979年外務省入省。外務本省では総合外交政策局(外交政策調整官)、国際協力局(開発協力総括課企画官)、大臣官房(人物交流室長)等、在外においては在ユーゴスラビア大使館、ボスニア・ヘルツェゴビナ上級代表事務所、ニューヨーク国連日本政府代表部、在オーストリア大使館、在セルビア大使館等に勤務。2016年10月より駐バルバドス特命全権大使。
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