「グローバル経営」(社)日本在外企業協会発刊2013年3月号

 

 

 

トリニダード・トバゴをご存じですか?


在トリニダード・トバゴ特命全権大使
手塚義雅

 

 読者の皆さんはトリニダード・トバゴ(以下、TT)と聞いて、どこにあるかご存じだろうか。かくいう私も赴任前までは、カリブ海の島国であることは知っていたが、カリブ海のどこにあるかまでは知らなかった。地図をご覧になれば分かるが、カリブ最南端に位置し、狭い海峡を隔てた向こうの陸地は南米大陸で、一見するとカリブ海の国というより、南米大陸の一部といっていいような島国である。しかしながら、ラテン系の中南米諸国と違い、この国は英連邦加盟国で英語を公用語としている。面積は約5,100平方キロメートル(千葉県とほぼ同じ)、人口は約130万人(千葉市と市川市の人口の合計とほぼ同じ)である。千葉県に千葉市と市川市を合わせた人達が住んでいる国といったイメージであろうか。猛暑の印象がある気候は回りが海に囲まれているためか、極端に暑くはならない。回りが海に囲まれているという点では沖縄とも似ている。沖縄には独自の琉球文化や美しい自然があるが、この点でも似ているかもしれない。TTはインド系(約40%)、アフリカ系(約38%)、その他ヨーロッパ系、中近東、中国系の人達が互いに影響し合いながら、独自の文化を創り出しており、首都から少し離れれば美しい自然を見ることができる。音楽に目を向ければ、スティールパンというドラム缶から作られた「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器」がある。何回もこの楽器の演奏を聴いたことがあるが、繊細で美しい音色である。
カリブ諸国の中では、唯一豊かな石油と天然ガスの資源があり、これら天然資源がこの国の経済の中心になっている。IMF(2012年)によれば一人あたりの国民所得は約17,900米ドルであり、これはチェコ(約18,300米ドル)に匹敵し、台湾(約19,800米ドル)に肉薄する。このため物資も豊かで暮らしやすい。また、他のカリブ諸国の中でも比較的人口が多く、この地域の中では発言力、情報発信力も大きい。このため多くの国がTTに大使館を置いており、私もTTをベースにして他の9カ国のカリブ諸国を兼轄している。
TTの人達は日本について、高い技術を持っている国、礼儀正しい国民というように良いイメージを持っているが、残念ながら具体的な情報となると、知らないことが多いようだ。このため、少しでも日本について知ってもらおうと努めているところである。

 

(本稿は「グローバル経営」2013年3月号に寄稿したものです)

 

・ダウンタウンの風景

 

・近代的なビルのあるウォーターフロント地区

 

 

 

 

Copyright(C): 2012 (Embassy of Japan in Trinidad and Tobago) | 法的事項 | アクセシビリティについて | プライバシーポリシー